即時抗告の書面対決が終盤にかかっていた。
そろそろ判決が出るようだ。
出る前になんとしても何とかしなくては…
今のホストクラブの奴らは年下のくせに俺のことをいじってくる。
頭が悪いくせに俺のことをバカにしてくるところも嫌だったし都合がいい。
俺はホストクラブを飛んだ。
新しいホストクラブを探していたが
思い切って前のホストクラブとは違う県に飛んだ。
箱(客の収容人数)が大きいホストクラブにした。
ホストの人数が多いから絶対に見つからないはずだ。
「もう誰も俺の1000万プレーヤーの夢を邪魔させない!!」そんな気持ちだった。
前のホストクラブでは教師だったことを売りにしていたら、年下の奴にいじられて辛かった…。
小さい店でナンバーが入ってるだけで偉そうにしやがって!!
だから今回の店で俺は、前職もホストだと履歴に書いた。
社長以外は知らない。
もういじられるなんて嫌だ!!
今回の店では、キャラを変えて「オラオラ営業」にした
飛んですぐに高等裁判所から判決が届いた。
間一髪だったと喜んだ。
判決文では今までの未払い金が100万を超えていたし、ひと月の婚姻費用も決められた。
その前にホストクラブを飛んだから「さちには請求先がないから支払う必要はない」と思った。
この先の事なんて考えもしなかった。
俺は目の前のホストとしての新しい人生を歩くだけだ。
誰にも邪魔はさせない!!!
新しいホストクラブでは化粧もしたしカラコンもいれて
ますますホストらしく決まっていた。
カツラも買い金髪ロン毛で売り出した。
初回の送りで指名されることも出てきていいスタートだった。
これからだ!!と思ったころさちからLINEがあったんだ。
何で!!?
なんでバレたんだ!!
確かにパネルは挙げたけど指名を受けるには仕方ないし、箱が大きい店なのに…わかるはずないのに!!
さちは「出てこないなら店に直接来る」って言うし…。
執念深くて気持ち悪い女だ!!
ホストクラブに来たり客が離れるような真似をしたら損害分は請求するからな!
「このままなら俺を潰すだけだ」とか言いやがった!!
「嫁に脅迫されて教師を辞めさせられ、ホストになった人の俺物語。
それでも執着する嫁物語」
無視され続けたらこのままさちが店に来て、本当に俺を潰しにかかるんじゃないか?と不安になってきた…