俺が仕事で問題を抱えていた頃、さちから「娘の夜泣きがひどい」と言われた。
この頃、俺の帰りがかなり遅いのもあるけど、さちは娘を寝かせながら一緒に寝てしまうこともあった。
だから、それを夜泣きのせいにしてるのかと思った。
大げさだなって思っていたけど、たまたま書類作成で夜中まで起きていた時に、娘は時計のように1時間ごとに泣いていた。
さちはそんな娘を抱いて、ずっと部屋の中をウロウロしていた。
夜泣きのひどさと余りの正確さにびっくりした。
本当だったんだな…
でも、別の部屋で寝ている俺は、一度寝てしまうと娘の泣き声で起きることはなかった。
俺には仕事があるし…それは仕方ないと思ったし、さちは元保育士だ。
元保育士なんだから、それぐらい一人で出来るだろって思っていた。
さちは睡眠不足からか、俺が朝起きてきてもすっぴんの日が増えた。
結婚してからも俺の前ではあんなにきれいにしていたのに…
髪の毛もある日突然ショートヘアになっていた。
「邪魔だったから」とさちは言ったけど…
俺はさちのロングヘアーが大好きだったのに…
夜泣きのせいで大変なんだと、分かっていても心がモヤモヤした。
「俺だけのさちじゃないんだ」と、自分の娘に嫉妬することもあった。
そのせいか、些細なことでさちと喧嘩することが増えた。
何でそんなことでイライラしていたのか今となっては分からないけど、当時は仕事のストレスや、嫉妬みたいな感情がわいていた。
帰ってきて家事が終わってないことに文句を言うと、

当時のさちは育児ノイローゼからか、パニック障害だと診断されて薬を飲んでいた。
そのせいなのか何もないのに泣いたり、沈んだりしていることもあった。
正直そんなさちを、見るのもうんざりだったし、病気?そんなの気の持ちようだろ。そう思う自分がいた。
いっぱいいっぱいって…
昼間一日いるくせに…俺だって…
当時、夫婦の喧嘩を母親に相談したら、「さちちゃんは今仕事していないじゃない。甘え過ぎよ。あなたが働いているおかげで生活が出来ているんだから」って言われた。
そうだよな!!
俺が働いているから家計が回ってるんだ…
それをさちに伝えると、「何それ!」って泣きながら怒ったが当時の俺にはどっちが正しいのかなんて分からなかった。
ただ、自分に甘い方になびいてしまった…
そして甘い囁きは母親にとどまらなかった。